友駿ホースクラブに対するほっさんの意見
●友駿ホースクラブに入会したきっかけ
私が友駿ホースクラブに入会させていただいたのは、2003年5月のことである。なによりも私の入会意欲をかきたてたのは、2002年有馬記念におけるタップダンスシチーの好走で、この日私は1番人気のシンボリクリスエスと8番人気のコイントスの馬単1点勝負という自信に満ちた馬券を購入し、テレビ観戦していた。ところが、レースは人気の全くなかったタップダンスシチーが大逃げを打ち、直線に入ってもその脚色は衰えず、あわや大金星かというレースを目の当たりにしてからである。
ゴール直前、1番人気のシンボリクリスエスがタップを捕られ優勝したが、私にはゴール前差し切ったクリスエスよりも、人気薄であわや大仕事をやってのけそうなタップの方が鮮明に脳裏に焼きついた。
タップダンスシチーが1口馬主クラブの所有であることはなんとなく知っていた。当時私は1口馬主クラブは友駿ホースクラブしか知らず、そこが最大手で1番優秀であると思っていた。全然タップに関係のない私ですらこれだけ感動するのだから、この馬の所有者の感激は計り知れない。正直に羨ましいと思った。自分も是非やってみたいと思った。
●どこでもそうだが1口馬主は儲からない
私は、タップダンスシチーの所有者が、儲かっているであろうことは予測できたが、1口馬主で自分が儲かるとは思っていなかった。ダヒスタ(ダービースタリオン)やウイニングポストなどで出てくる有名種牡馬(当時はサンデーサイレンスやトニービン)の子供を所有してみたかったし、それらが競馬新聞に載るのが夢でした。ゲームでは簡単に1番人気になったり、2着以下を千切ったりするシーンが見られるが、自分が買える金額でその程度の馬が居ないことは百も承知だった。
ここで大事なことは、1口馬主でお金を儲けようと言う人は、どこのクラブに関わらず入会を辞めたほうがいい。基本的に1口馬主は儲かるはずがないのだから。
なぜなら、まずどのクラブに入会しても月々3500円程度の会費が発生する。また、愛馬が出走し、賞金を稼ぐごとにクラブ手数料が発生し、騎手や調教師への上納金の15パーセント以外にも負担が発生する。フサイチ軍団の関口房朗氏などは、競馬は儲からないと仰っているが、彼らは投資目的で馬主になっているのではなく、自分の会社の売名行為か、完全に趣味の世界であり、かつお金が有り余っているのでしているようなものである。従って、こずかいギリギリの人が投資目的で1口馬主をやろうというのであれば、まずやめたほうがいい。儲かっているのは、よほど運が良いか馬を見る目がある人だけで1口馬主100人に1人くらいであろうと思われる。
馬代金が2000万円で口数が400分の1として、その代金は5万円。さらに預託飼葉料が月50万ほどかかるので、400で割って約1200円。預託飼葉料は1歳10月(友駿ホースクラブの場合)から発生するので、7歳ちょうどまで活躍したとして74400円。合計124400円であるが、未勝利1回勝てば手元に獲得できる賞金は、約8000円くらいしかない。500万条件で1万円。準オープンで2万そこいらのお金しか入って来ない。GTを勝っても10万ちょっとくらいのものである。ということは、そうとう活躍するか、2、3着を堅実に走るかでないと、骨折で9カ月ほどでも休むものならとんでもないことになってしまう。
確かにタップダンスシチーのように500分の1の配当で、1口が100万を超える馬もいるが、そんな馬に巡り会えるのは一生に数回ほどである。ましてや毎年3分の2の3歳馬が、未勝利であったりデビューを果たせなかったりして秋までに引退を余儀なくされる中央競馬において、まず1勝できる馬を探すこと自体が難しい。
以下まだ製作中
すでに友駿ホースクラブに入会していた私だが、馬主成績などを見て、またホームページが一番お洒落でしっかりしていたこともあり、常々入会しようと思って資料を取り寄せたりはしていた。
社台やノーザンファームはあまりに投資額が高く、リスクが大きいので、魅力はあるが最初から入会は諦めていた。シルクやマイネルやタイキとの比較になるわけだが、勝率が良く先程も述べたようにホームページが美しく、また取り寄せたカタログも立派で、しかも繁殖牝馬の質が高く、と様々な理由からキャロットを選んだ。
他にも施設の充実しているノーザンファーム産の馬を所持したかったことと、角居厩舎や藤沢厩舎、松田国厩舎など、日本競馬界を牽引する厩舎に預託されているのも大きな魅力であった。
入会金2万円は他と比べると高いが、もともと2006年の皐月賞で大勝(2000円が60万)したときに、もう1つクラブに入ろうと思い資金を残してあったので、それは心配なかった。
シチーに入会したときもタップダンスシチーが有馬記念初出走のときに大逃げを打ってあわや優勝かという2着のレースを見て感動を覚えたからで、キャロットもアロンダイトがジャパンカップダートに優勝したのをきっかけに「これはいそいで入会しないと激戦になるかも」と思い、いそいで入会した。
●キャロットの募集馬と最初に選んだ馬
友駿ホースクラブの不満点に生産牧場の規模と繁殖牝馬の質、そして預託厩舎の弱さがあった。キャロットクラブの母系は一流のものが多く(ただしその分値段は高いが)、生産牧場もほとんどが社台ファームかノーザンファームである。また、預託厩舎は募集金額によって随分と違うが、高額の募集馬にはこれまた一流の厩舎が割り当てられている。ちなみにクラブ期待の角居厩舎は2800万円以上の募集馬しか預託予定に入っていなかった。
また、一応一口2万円程度の安価な馬も募集されていた。しかしこれは血統的にも預託厩舎も地味で、売れ残りも多かった。また、友駿ホースクラブとは逆で関東入厩予定の馬より関西入厩の馬の方が10頭ほど多かった。現実の西高東低を見ればそうするのが当たり前であると思われるが、当たり前のことを当たり前にできているのはさすがだと思った。
募集馬は9月に一斉に募集されるため、私が入会した11月は「これいいな!」と思った馬はみごとに完売であった。そんな中、安くて良さそうに見えたのが、今回購入したダイナチャイナの05である。35000円という募集価格で父スウェプトオーヴァーボード。父の父は私に縁があるエンドスウィープである。母のダイナチャイナも仔出しが非常によく、どの産駒も1000万クラスで力走している(私はその位で十分なのだ)。そして、預託厩舎も有力の二ノ宮厩舎(主戦は柴田善や木幡両騎手)で申し分なかった。唯一の不満は関東の所属であることだ。残念ながら口取り式もいけないだろうし、生でレースも見られないだろう。
それでも関西の産駒は魅力的なものがいなかったせいもあり、かなり即決で決めた。
●今後買いたい馬
やはり、関西の有力厩舎(角居、松田博、音無等)管理で、重賞ウィナーの初仔なんて、とんでもなく高額であろうが、夢として1頭くらいは欲しい。友駿ホースクラブでは良くても佐々木晶三厩舎だが、キャロットクラブだと、抽選に当たって高額ではあるがお金を支払えば夢が叶う。基本的には安くて良い馬だが、1頭くらいは新馬戦1番人気1着というのを味わってみたい。
●友駿ホースクラブのここが素晴らしい
1.愛馬が未勝利で終わっても代替馬をくれる
特にこの道の初心者にとって気になるのは、ちゃんといい馬を選べるかどうかで、馬というのは高いから走るとは限らない。例えば自分が1口60000円の馬を購入したとして、2歳10月のデビュー直前に調教中の事故で、競走能力を喪失したとする。他のクラブであれば、40%程度の補償をしてくれるが、単純に30000円以上はパーである。
友駿ホースクラブであれば、愛馬が未勝利で引退した場合には、購入した代金と同等の代替馬を提供してくれる(保険金などの関係で適用されない場合もあり)ので、万が一のときにも安心である。
もちろん、この代替馬の料金も馬購入代金に多少なりとも含まれているので賛否両論あるが、私はこの制度は大賛成である。とにかく安心して馬を選べる。この安心感が初心者にとって嬉しい。
しかし、目の肥えた玄人的な考え方をすれば、購入馬が1勝以上すれば代替馬の適用はないので、あらかじめ購入代金に代替馬の料金が多少上乗せされているのに損した気分ということになる。このような方は他のクラブに移るべきで、確実に馬を選別できる人には向いてないクラブであるといえる。
2.GTクイズが面白い
特に私が素晴らしいと思うのはGTクイズで、あらかじめ夢コースの馬を購入(1/1000口で1口12000円程度 また、1口しか購入できない)し、平地GTの勝ち馬を予想する。総投票口数はフェブラリーステークスから秋華賞までは2000口。菊花賞から有馬記念までは3000口。各GTごとに用意された賞金200000円を当選口数にて分配するというもの。投票できる期間は約2年半で、その間30程度のレースに投票できる。
正直たいした金額は貰えない(ディープインパクトの菊花賞の時など1口配当が175円)が、たまにそこそこ(メイショウサムソンの皐月賞で同2986円)貰えるときもあり、レースでドキドキ、当たって配当金の額を見るまでドキドキと1つのレースで2度楽しむことができる。
興味がなければ参加しなければいいわけであるが、たいてい毎回募集の1000口は満口になる。
3.歴史がある
友駿ホースクラブは1口馬主のクラブの中では最も古く、世の中に1口馬主というものを普及させた功労者である。その為関わってきた人間も多く、思い出話にときどき登場したりする。
4.会員数が多い
たくさんの会員が存在することによって各地で交流が深まり、各個人たちで集まっての牧場見学や、横断幕、ネット上でのやりとりも活発である。
特に、シチー軍団にはなくてはならない「がんばれシチー軍団」のホームページは、友駿主体ではないにも関わらず、非常に交流が活発で、日々内容が更新されている。これも、会員数が多いからこそなせる業である。
友駿ホースクラブはよく「10000名の会員様大喜び」などのうたい文句で宣伝している。この人数をどうやって計算しているのかわからない。現在の正規の会員数なのか、過去に在籍した者すべての数なのか。しかし、私見だが、今現在会員が10000余名いるとはとても思えない。毎月の明細書の番号も月30番ずつくらい減っているし、募集馬の売れ行きが悪いからである。例えば先程のGTクイズの権利付き馬にしても、魅力的なので、本当に10000余名もいたら1000口では足りないはずなので、抽選になってもいいと思う。それなのに、毎回確実に買えてしまう。
しかし、3000人は間違いなくいるだろう。インターネットでもシチーのオーナーさんにはよく会うし、有名人でも何人かは耳にする。
5.
●友駿ホースクラブの不満点
そんな友駿ホースクラブも不満点がないわけではない。
1.繁殖牝馬の質が低い
種牡馬は1流(キングカメハメハやアグネスタキオンなど)であるが、それを付ける繁殖牝馬の質が低いことは自他ともに認めるところである。せっかくの高価な種牡馬も、繁殖牝馬が1勝や未勝利クラスの馬では、重賞ウィナーやGTウィナーは生まれにくい。自クラブの引退した繁殖牝馬に頼る割合が高く、もっと有力な重賞ウィナーの牝馬あたりを購入し、繁殖牝馬のレベルアップを図って欲しい。
ちなみに昨今活躍したタップダンスシチーは外国産馬。オペラシチーの母は友駿配合の牝馬ではない。
2.預託厩舎のレベルが疑わしい
あまり競馬を知らないファンでも、ディープの池江泰郎調教師や世界の藤沢和雄調教師くらいは知っている者も少なくない。ところが友駿ホースクラブはそういった超有名厩舎への預託はほとんどなく、有名といえば佐々木晶三調教師や奥平真治(引退)調教師くらいで、無名な厩舎が多い。雑誌などの調教師ランキングでも、友駿ホースクラブの預託厩舎で上位に来ているのは、先の2名と2007年であれば戸田博文師、岡田稲男師あたりのみである。
他のラフィアン(マイネル軍団)やシルクもそう大きな差はないが、サンデーレーシングやキャロットクラブなどのノーザンファーム系と比較すると相当レベルが落ちている気がする。
3.鍛え方が生ぬるい
社台レースホースやキャロットクラブの所属馬はノーザンファームや社台ファームといった充実した施設の整っている牧場で早い段階から厳しい調教を積まれる。ここはスタッフも海外で研修を行なうなど、世界基準で稼動しており、毎年のようにGT馬を輩出している。
ラフィアンターファイトクラブ(マイネル軍団)も、施設こそ違えどその調教量の多さは有名で、2歳から活躍馬を輩出している。
しかし、友駿ホースクラブは2歳での活躍馬が非常に少ない。その多くがダービー開催あたりの未勝利戦で勝ち負けといったクラシックには遠く縁がないところでの活躍となっている。これは1歳2歳時における調教量の差で、馬を丁寧に扱い故障が少ないのは素晴らしいが、休養しすぎて鍛えられていない気がしてならない。
どんな良血馬でも鍛えなければ走らないのに、ましてや低血統馬が鍛えないのでは、話にならない。
4.会報が薄い
月に届く会報誌はA2程度の大きさで8ページから10ページ。内容はほとんどが所属馬の入着の記事と近況で、少々ゆかりのある方のコラムが入る。15分くらいあれば読破できる内容である。
他の同業者の会報誌がA4版で6、70ページあることを思えば少々物足りない。他と同じだけの会費を取っているので、もう少し充実した内容にして欲しいところである。
最後に
いろいろと、一会員として思うところは美化せずに書きましたが(あくまでも個人のホームページなので)、すでに入会して4年目ですが、入って損をしたと思ったことは一度もありません。
確かに、他のクラブなどと比較して、勝率や勝ち馬数が劣ることは数字から見ても明らかですし、否定できません。しかし、勝てなくても代替制度がありますし、また毎年募集馬の中からオープン入りする馬が1頭は出ています。上手くそれを見抜いて購入することができれば、なんの問題もないと思います。
では私がこれをご覧の皆さんに入会を勧めるかといいますと、相当辛抱強くそこそこお金に余裕のある方でなければ、1口馬主はお勧めできません。ほとんど儲かることもないですし、レースを選択できる権利もありません。中途で退会すれば入会金10000円(クラブによって異なります)はパーになるし、所属しているだけで、毎月の会費(3500円程度)も発生します。ましてや愛馬が1勝しても、そんなに大きな金額が入ってくるものでもありません。
ですが、自分の選択した馬に名前が付いたり、競馬新聞に乗ったり、有名騎手が騎乗してくれたり、レースに出走したり、勝てばウィナーズサークルに入って愛馬や騎手と一緒に記念撮影ができたりといままでにない体験が可能になります。
ですから1口馬主というのは、投資目的ではなく、夢を買うと思っていただいたほうが良いでしょう。
もし、入会に迷っている方がいらっしゃれば、わかることはなんでもお答えしますので、クラブに問い合わせるか当サイトの管理者宛にメールしてください。
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